◆ 337・音楽療法の実践例と不眠への効果

 最近注目を浴びているのが音楽療法。広義に解釈すれば、音楽健康法など様々な内容を含む。本稿では、読者が実際に役立つように、高齢者の不眠と音楽の利用について記したい。
 睡眠障害の種類には、
・寝付きが悪い(入眠障害)
・夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)
・朝早く目が覚める(早朝覚醒)
・ぐっすりと眠れない(熟眠障害)
などがある。「なぜ眠れないか、思い当たる原因はないか」と問いかけられるのが、優れたナースと言えよう。

 音楽療法を分類すると、

1)集団的:数人のグループを対象
 個人的:一人に対するセッション
2)能動的:歌ったり楽器を演奏する
 受動的:音楽を聴取する
3)指定の曲:施行者が決めた特定の曲
 好みの曲:各自が選ぶなじみの曲

となる。個人的・受動的・好みの曲を就寝時にCDやカセットテープで聴取させてみるとよい。
著者らは以前に、不眠に対する音楽の効果を全国の多施設研究で検討したことがある。音楽療法用CDには、
・小鳥のさえずりとせせらぎの音
・バッハ:G線上のアリア
・パッヘルベル:カノン
が含まれ、就寝前の聴取により良好な睡眠状態が得られた。音楽には6要素あるとされ、就寝前に用いる音楽で好ましい特徴を示す。

・メロディ:細かく急な動きをしない
・リズム:やや遅めで落ち着く
・ハーモニー:不協和音が少ない
・強弱:音量の変化が少ない
・遅速:速くなく、ほぼ一定で
・音色:シャープよりマイルドな音質

 以上より、市販の癒し系CDや患者の好みの曲を利用できる。演歌や流行歌では、歌詞がない曲が感情移入が少なくてよい。著者は音楽CD「Dr.板東の癒しの部屋」(32曲)を最近リリースした。下記HPを参考にされたい。
 昼間には、グループによる音楽療法セッションで気持ちよく歌い身体を動かし、就寝時にはなじみの音楽で、快い眠りの世界に誘ってほしい。

図 音楽療法セッション(演奏は筆者)

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