◆ 血糖について
●血糖とは? 血糖・基準値 65-105 mg/dl
・血糖は、血液中のグルコース濃度(糖の濃度)を測定するもので、血糖が高いか、低いかをチェックします。
・100ccの血液の中に、約100mg (約0.1g) というわずかな糖分があるのが正常で、0.2g になると糖尿病となり全身に影響が出ます。
・血糖は、ホルモンによって調節され、血糖を低下させるのは、膵臓のβ細胞で合成されて分泌されるインスリンだけしかありません。
・インスリンが不足すると、高血糖となり、糖尿病の状態となります。逆に、インスリンが過剰なら低血糖になります。
・多くのホルモンは血糖を上げます。膵α細胞で作られるグルカゴン、副腎で作られるコルチゾル、カテコラミンなどが代表的です。
●異常値を示す場合
・健康な人では、空腹時と食後の血糖値はおおよそ60-160mg/dlの範囲にあります。
・以前は、空腹時血糖が140mg/dl以上で糖尿病と診断しましたが、このたび、126mg/dl(7.0 mmol/l)以上と診断基準が変わりました。
・すなわち、今までよりも軽症の糖尿病の患者を早期に診断し、合併症が出ないように早期から治療を始めることができます(図)。
・随時に測った血糖が200mg/dl以上なら、糖尿病と診断されます。以上より、空腹時・随時血糖の測定は、糖尿病の診断にとても大切です。
・膵臓からインスリンが持続的に分泌されるインスリノーマでは、血糖が下がりすぎて、低血糖になります。
・糖尿病患者が入院している時、血糖の日内変動をみるために、各食前と各食後2時間目と就寝時の7回、血糖を測ることがあります。
●他の検査との関わり
・1999年5月から、日本での糖尿病の診断は、1)糖尿病に特徴的な症状と空腹時血糖、2)随時血糖の検査で行います。
・1)2)ではっきりしない場合は、3)75gブドウ糖負荷試験を行い、2時間血糖が200mg/dl以上なら、糖尿病と診断できます。
・血糖値は食事により大きく変動します。血糖の平均値を表す指標としてHbA1cがあり、糖尿病のコントロールにとても役に立ちます。
・血糖よりもHbA1cが臨床的に有用と思われがちですが、迅速で簡便に測定できるので、日常診療および国際的に、非常に大切な検査です。
・血糖値はインスリン分泌に大きく影響されるので、血中インスリン濃度(IRI)、Cペプチド、グルカゴン濃度を詳しく調べることがあります。
●高値を示す場合 ●低値を示す場合
血糖が高い場合 血糖が低い場合
・糖尿病 ・インスリノーマ
・内分泌疾患(先端巨大症、 ・インスリン投与時
甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫 ・経口血糖降下剤投与時
クッシング症候群) ・下垂体機能低下症
・妊娠、ストレス ・副腎皮質機能低下症
・肥満、低栄養状態、 ・アルコール低血糖
・肝硬変、慢性膵炎 ・胃切除後症候群
・サイアザイド系などの薬剤 ・レセルピンなどの薬剤
●異常値になるしくみ
・血糖は、図のように調節されており、異常値がみられる場合は、どこかにその原因があります。
・血糖が高い場合には、食事性か、採血時間に間違いないか、ストレスか、運動の影響か、などを考えます。
・著しい高値か低値の場合には、脱水を伴う高血糖か、意識障害を伴う低血糖か、ブドウ糖を含む輸液の影響か、などの状況を考慮します。
・持続的に血糖が低い場合は、インスリンの過分泌(機能性・線種)はないかを考えます。
●看護に役立つ知識
・血糖値は、食事、運動、ストレスなどのいろいろな因子によって変動します。再検してやはり異常なら、次のステップに進みます。
・最近は、簡易血糖測定器が普及し、1分ほどで結果がでます。機器によって若干、手技が異なるので注意しましょう。
・検査室に提出する場合、血糖検査の検体には、全血、血清、血漿の種類があります。結果も違ってくるので、スピッツを確認しましょ。
・血清・血漿では、全血よりも約15%高く、静脈血より動脈血では高値を示します。採血後の検体の保存方法により結果も変わります。
・近年、血漿中の血糖を測定する施設が次第に多くなっています。英語ではPG (plasma glucose)といいます。
・HbA1cも同時に測定する施設では、全血を使うので、BG(blood glucose)を測定します。
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