◆ 肥満症-7 胃=田+月

 今回は、肥満について最後の話になります。大切なポイントを少し復習してみます。肥満とは身体に脂肪が必要以上に多い状態です。筋肉もりもりの男性や、隠れ肥満の女性などがあり、見かけだけでは判断ができません。しかし、普通の体格の人では、体重が多ければ、脂肪の量が多いと考えられます。理想体重(kg)は身長(m) X 身長(m) X 22という式で求められ、理想体重より2割以上多ければ「肥満」と言えます。肥満症の人は、通常の人と比べて、糖尿病、高血圧、胆石症、痛風、心臓病などの合併症が多く起こります。ですから、肥満症をそのまま放置しておくのは得策ではありません。肥満症治療の2本柱は、食事療法と運動療法です。

 徳島大学医学部附属病院の栄養管理室の高橋保子室長は、食事療法について話をしました。その中で、各自の生活に応じた摂取カロリーを計算し、バランスよく規則的な食生活が大切であることを強調しました。
 徳島大学開放実践センターの田中俊夫先生は、運動療法について触れました。やせやすい運動はきつくない運動で、ウォーキング、ジョギング、踏み台運動、固定式自転車、水泳・水中歩行などがあります。いずれも、30分以上続けられるもので、「にこにこペースの運動」が効果があることを紹介しました。
 先週は、摂食中枢(空腹中枢)と満腹中枢の話をしました。肥満の人は、美味しそうな食物を見たり、かぐわしい匂いを嗅いだり、すこしお腹がすくだけで、空腹感を強く感じて食べたいという強い衝動が起こります。これらは、摂食中枢が敏感すぎるからなのです。一方、食べ始めると止まらなかったり、「お腹がいっぱいになった後でも、甘いものなら別のところに入るから大丈夫」という事もよくききます。これらは、満腹中枢の働きが鈍くなっている可能性があります。

 このように、肥満者は、摂食中枢と満腹中枢のバランスに、「ずれ」があると言えます。また、「そんなに食べていないのに太る」という話もよく聞きます。本人が思っている量と実際に食べた量とは食い違っており、現実の認識力にも「ずれ」があるようです。
 たくさん食べていると、胃自体がその食習慣を覚えてくるのでしょうか。「胃」という漢字は、「田」の下に「月」と書きます。田は脳みそを表し、月(にくづき)は、身体を表します。これは、中国では昔から、胃の中に脳があり、人は胃でものを考えると思われていたからです。確かに、心配事があると胃の調子が悪くなって食欲がなくなったりします。しかし、実際は、胃ではなくて、頭の中の脳で判断しているのですね。

 巷には食欲を刺激する情報が氾濫しています。どんな理性的な人でも、美しい人の魅力に惹かれてしまうように、美味しい食べ物の誘惑に負けてしまうかもしれません。そうならないように、肥満症のまとめとして、
次の言葉を贈ります。

「食べ物は頭で取って、身も心もスマートに」

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