◆ 肥満症-5 サウナの汗

 前回は、内臓脂肪と皮下脂肪について触れました。内臓脂肪型肥満の人は、糖尿病や高血圧、高脂血症など合併症が多いとされています。一方、現役の相撲取りはあれほど太っていても内臓の脂肪は少なくて、皮下脂肪型肥満なので、合併症がある力士は予想よりも少ないことをお話しました。

 今回は引き続いて、力士について分析してみます。力士の内臓脂肪はなぜ少ないのでしょうか?彼らは、連日の厳しい稽古で、文字通り、汗水たらして鍛錬しています。皆さんの中でサウナに行って「いい汗をかいて
やせた」とおっしゃる方がいますが、これは少し誤っています。サウナの汗は、身体の中からただ一時的に水分が出てきただけです。水を飲めばもと通りです。一方、力士の汗は、長時間にわたる運動によって筋肉を収縮・弛緩させ、エネルギーを消費したものです。このエネルギーは、脂肪が燃えることで作られたのです。この時には、皮下脂肪よりも内臓脂肪が動員されるので、特に内臓脂肪が少なくなると考えられています。 
 また、動物を1週間走らせる実験でも、皮下脂肪はなかなか減りませんが、内臓脂肪は減ってくることがわかっています。どうやら、ここに健康的に美しくやせる秘密がありそうです。ネズミやハムスターのように、「あなたも1日中歩行器の上を歩き続けなさい」とは申しません。あなたが運動をする時に役立つポイントを次に紹介しましょう。

 息を止めての全力疾走などの運動は無酸素運動(アネロビクス)と呼ばれ、筋力をアップする効果はありますが、脂肪は燃えません。脂肪を燃えさせるには、十分な水と酸素が必要です。水分を補給し、有酸素運動
(エアロビクス)的な運動をお薦めします。これは酸素をいっぱい身体に取り込みながら運動するもので、一番効率よく脂肪が燃えます。有酸素運動にはエアロビクスや、水泳、散歩などがありますが、一番身近なものとして散歩がお薦めです。コップ1杯の水を飲み、良い空気を胸一杯に吸い込みながら、少し汗ばむ程度の速さで歩いてみてください。
 どれくらいの時間が良いかについてですが、汗をかく運動を20分続けると、ようやく脂肪が動員されて燃え出し始めます。ですから、10分では効果はなく、30分ほど続けることが大切です。脂肪が燃えるところは筋肉です。鍛錬で筋肉が太くなって筋肉量が増えると、さらに脂肪は効率よく燃えやすくなり、一層美しく引き締まった身体になれるのです。

 以上、肥満症についての5回をまとめますと、肥満の合併症は糖尿病や高血圧、痛風、心臓病などがあり、いずれも「ぜいたく病」や「成人病」、「生活習慣病」に該当します。結論は、「肥満体 たたけばほこりの 出る身体」です。

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