◆ 肥満症-4 内蔵脂肪

 皆さんの回りを見渡してください。いろんな身体つきの人がいますね。
見た目は太くても、ボディービルで鍛えあげた筋肉マンみたいな男性。一方、見た目はスマートであっても実は脂肪が多い「隠れ肥満」の女性など。

 前回は、理想体重の計算法を紹介しました。普通の体格の人では、理想体重(kg) は 身長(m) X 身長(m) X 22という式で求められます。身長が160cmなら1.6x1.6 x22= 56.3kgとなります。あなたの体重が、計算した理想体重より2割以上多ければ、「肥満」と言えます。
 さて、肥満の仲間に入りますと「ご褒美?」があります。通常の人よりも、ある特典?に何倍も当たりやすいのです。宝くじや馬券であれば、それは嬉しい限りですが、現実はそう甘くはありません。当たるのは、残念ながら、合併症という病気なのです。その割合は、糖尿病は5倍、高血圧は3.5倍、胆石症は3倍、痛風は2.5倍、心臓病2倍とされています。しかし、これだって、見方を変えれば、お金は何倍にも増えるのですよ。ただし、懐(ふところ)が暖かくなるわけではなく、医療費が高くつくだけですが・・。すなわち、脂肪を貯蓄すると、利子はつかず、逆に雪だるまのように支払いが膨らんでいくのです。

 最近、脂肪の蓄積と合併症との関係について、新しい研究結果が報告されています。脂肪の量が増えると合併症の頻度も増えるタイプの人と、そうではないタイプの人があることが明らかになってきたのです。この両者は、厳密ではありませんが、脂肪が蓄積する場所が異なるようです。その典型的な例を、皆さんがよくご存じのCTという医療機械で比べてみます。へその高さの断層写真の図を見てください。左の写真は内臓脂肪型肥満と言われ、内臓の腸と腸の間に多くの脂肪が分布しています。一方、右の写真は皮下脂肪型肥満と言われ、皮膚の下である皮下に脂肪が多く蓄積していることがわかります。左の内臓脂肪型には、糖尿病や高血圧、高脂血症などの合併症が多い傾向がみられ、右の皮下脂肪型はそれほど合併症が多くないという特徴がみられます。
 これらの研究の進歩から、従来の肥満と病気の関係で築かれていた常識がくつがえるケースが出てきました。昔はお腹をつまんで厚い人ほど病気があると考えられたようです。しかし、今日、お腹をつまんでも薄いのに、お腹が出ていたりウエストが太くなってきた人こそ、要注意というようになってきました。なぜなら、このタイプの人は、内臓脂肪型の場合が多いので、合併症が発生しやすいと考えられるからです。
 現役の相撲取りはあれほど太っていますが、皮下脂肪が多くて内臓脂肪は少ないことがわかっています。ですから、力士の中で合併症がある人は、予想より少ないのです。これらのことより、お腹の中にひそかに隠れている内臓脂肪こそ、健康の大敵であることがわかってきました。

 次回は、どのように内臓脂肪を減らしたらよいか考えてみましょう。

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