◆ 肥満症-3 理想体重

 前回は、肥満症かどうかをみる簡単な方法を紹介しました。上腕の後ろ部分と背中の肩甲骨下部の皮下脂肪をつまんで、男性では3.5 cm、女性で4.5 cmを越えると、おおよそ肥満症と言えます。というのは、脂肪が体重の中で占める割合が、男性で20%、女性で30%を超える目安となるからなのです。しかし、この方法では、どうしても誤差が大きくなってしまいます。

 そこで、今回はより実際的な方法について話をしたいと思います。特殊なスポーツ選手で筋肉の塊みたいな人を除いて、ごく普通の体格の人では、身長と体重から計算すると、肥満かどうかはおおよそわかります。従来、日本では、標準体重の計算方法として、 (身長-100) x 0.9 が使われてきました。例えば150cmの女性であれば、(150-100) x 0.9 = 45.0kgとなります。例えば、身長が150cmで体重が49.5kgの麗しい女性がこの数字をみて、「私は太りすぎだわ」と悩むことが多かったのです。しかし、ご安心ください。この計算式は、日本人女性などで身長があまり高くない人では、誤差が大きくなる欠点があるので、今後はあまり使いません。

 それでは、今後国際的にも使われる計算式をご紹介します。
理想体重(kg)=身長(m) X 身長(m) X 22という式です。例えば、身長が150cmの女性では1.5 x 1.5 x 22 = 49.5 kgとなります。この計算法では、さきほどの女性は理想体重にぴったりと言えます。この方法は老若男女の誰でも使うことができます。身長が170cmの男性では、1.7 x 1.7 x 22 = 63.6 kgとなります。皆様も一度電卓をたたいて、家族の理想体重を計算してみてはいかがでしょうか?。

 この理由を説明します。身体の体積の指標としてBody Mass Index(BMI)という計算方法があります。日本語に訳せば、「身体の容積の指標」です。たとえば、身長170cm、体重63.6 Kgの人では、63.6/1.7 x 1.7 = 22となります。数千人の日本人のデータから、BMI と病気との関係を研究した結果を図に示します。横軸はBMIで縦軸は病気になる割合です。BMIが18-20のやせている人は病気がやや多く、22の人は一番病気が少なく、24-26の太りぎみの人は病気がぐっと多くなります。すなわち、BMIが22程度の体格の人が一番病気が少ないので、理想体重と考えられるようになりました。

 BMIがどれくらいを越えれば肥満と言えるかですが、従来は25が境界線とされていました。しかし、最近では22の2割増しである26.4を境界線とする場合が多くなっています。

 次回は、肥満についてさらに話を進めます。

powered by Quick Homepage Maker 4.91
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM