◆ 肥満症-2 かくれ肥満

 前回は、脂肪について紹介しました。私たちの身体には皮下脂肪や内臓脂肪があり、脂肪には大きなエネルギーが蓄えられています。脂肪には、身体の断熱材、内臓のクッション、エネルギーの貯蔵庫などの大切な働きがありますが、この脂肪が多くなりすぎた状態が「肥満症」なのです。

 肥満症について、誤解をしている人がいます。見かけが太い人ばかりが肥満症ではありません。柔道や陸上競技のフィールドの選手は見た目には太いので、肥満症かと思ってしまうかもしれません。しかし、スポーツ選手の身体は鍛錬により筋肉の量が多くなっており、脂肪の量が多くなっているわけではないので、肥満症ではないのです。
 これと逆の場合があります。スマートな若い女性はプロポーションも良く、憧れる男性も多いかもしれません。しかし、見かけが細くても、筋肉が少なく脂肪が多ければ、肥満症です。すなわち「かくれ肥満」と言えます。最近は、かくれ肥満の女性が増えてきています。現代女性は、スポーツや力仕事をする機会が少なく、ファッション性が重視されていることも一因でしょうか?
 さて、私たちの身体の中には、脂肪はどれくらいあるのでしょうか?通常、体重に占める割合は、男性では15-18%、女性では20-25%ほどとされています。これより脂肪が増えて、男性では20%以上、女性では30%以上になると、いわゆる「肥満症」の状態になります。例えば、体重50kgの女性で30%なら、15kgもの脂肪が身体についているのです。肥満症になると、皮下脂肪や内臓脂肪に加えて、高級な「しもふり肉」のように、筋肉の間にも脂肪がたまってきます。さて、あなたの身体には、どれくらいの脂肪があるのでしょうか?

 精密に身体の脂肪の量をはかる方法があります。あぶら(脂)は水より軽いことを利用し、身体を水の中に沈めて体積を求めて計算するやり方や、設備がそろった研究所で放射線同位元素を用いる測定法などがあります。しかしこれらは実際的ではありません。皆さんが簡単に脂肪の量を推測できる方法をお教えします。肥満専門外来では、専用の器具を用いて、上腕の後ろ部分と、背中の肩甲骨下部の皮下脂肪の厚さを計測します。
その両者を合計して、男性では3.5cm、女性では4.5cmを超えると、身体の脂肪量が、男性では20%、女性では30%以上と考えられ、「肥満症」と言えます。おおよその目安として、あなたや家族の上腕と背中をつまんでみてください。

 最近は、電気抵抗の原理を応用し、簡易に脂肪量が測定できる機器が登場しています。医療施設や健康教育の場で利用されているので、機会があれば一度計ってみてもらい、ご自身の「肥満度」をチェックしてみてもよいですね。

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