◆ 糖尿病-2 神経がいたむ

 先週は、織田信長が糖尿病による手足のしびれや痛みがひどく苦しんでいたというお話をしました。もし、信長が糖尿病でなければ、「本能寺の変」が起こらず、歴史が変わっていたかもしれませんね。

 さて、糖尿病の患者さんでは、目に見えない細い血管が影響を受けます。血管そのものが弱くなったり、血の流れが悪くなったりします。そして、いろいろな症状がからだ全体に出てきます。これが合併症です。この中で重要なものが、神経障害、腎症、網膜症として、3大合併症と呼ばれています。信長の手足のしびれや痛みは、糖尿病による神経障害であったのです。
 なぜ、糖尿病によって神経が影響をうけるのでしょうか?専門的な話になって恐縮ですが、血の中の糖分が高くなると、糖分が代謝される道すじがすこし変わってきます。通常よりもソルビトールという物質が増えてきて、神経の細胞の中に多く貯まってきます。そして、神経細胞が膨らんでしまって壊れやすくなるのが一つの原因とされています。
 糖尿病によって神経が障害を受けると、どのような症状が出てくるかをお話します。図1をみてください。からだ全体に影響がきていますね。糖尿病の患者さんの中でも、糖尿病の期間が長い人や、食事療法などが
不充分で血糖が高い人などが、次第に神経が侵されてくるのです。表1には、糖尿病における神経障害があるかどうかをチェックできるように、示しました。糖尿病の方や糖尿病の気があると言われている方は、一度、
チェックしてみて、かかりつけのお医者さんにご相談してみてください。
 糖尿病という病気は、普通の病気と違って、痛いとか苦しいなど、はっきりした症状はありません。ですから、逆に、とても恐い病気なのです。知らない間に次第に悪くなって、気がつくと取り返しがつかないようになってしまいます。糖尿病患者さんの中には、特に症状がないために、食事・運動療法などに消極的な人がいますが、ある時期になると、手足のしびれや痛みが出てきます。いろんな症状がでてくると、織田信長と同様に、あなたの歴史もいろんな意味でかわるかもしれませんね。

 
表 糖尿病における神経障害のチェック項目

□ 手足の先が痛むことがある
□ 手足の先が、ジンジン、ビリビリとしびれることがある。
□ 手足の先が、冷たいとか、逆にほてる感じがする。
□ 畳の上を歩くときに、砂利の上とか、ふとんの上を歩いている感じがする。
□ 足の筋肉がケイレンしたりツルことがある。
□ 手や足に力が入らない。
□ 排尿に時間がかかり尿に勢いがない。
□ 一日に何度もトイレに行きたくなる
□ 性欲がなくなってきた
□ 立ちくらみしたり、めまいがすることがある。
□ 食事の時(食事中および食後)に上半身によく汗をかくことがある。
□ 便秘や下痢など便通に異常があることが多い。

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