◆ 糖尿病の時代

新しい世紀、21世紀。我が国は20世紀に大きく成長し、今では豊かな国の一つである。国民の疾病構造は、時代とともに次第に変化してきた。提言「健康21」が厚生省から発表され、今後のフォーカスは生活習慣病へと移りつつある。中でも、糖尿病に対する管理は、これからの重要な課題となっている。

 一方、医療の分野では、長年、医学と医療、cureとcareの差異などについての議論が続いてきた。最近はEvidence- basedmedicine (EBM)がトピックスであり、その必要性や妥当性が強調されている。また、2000年4月から介護保険制度が導入され、本邦の医療の大きな変革期が訪れている。

 これら3者を合わせ、今後、<根拠に基づく保険医療>(Evidence-Based Healthcare, EBH)という視点から、診療を考えていくのが、適切ではないだろうか。以前には、医師だけの判断で診療が行われていた。しかし、今やコメディカルスタッフと共に、多様な価値観を持つ患者や様々な状況にあわせて対処していかねばならない時代なのである。

 以上の背景を考慮し、今回の糖尿病特集では、日常診療の場で有用な情報源となるように、編集を試みた次第である。すなわち、プライマリーケア医学・医療の観点で、学術的というよりも実際的な切り口でまとめさせて頂いた。読者のニードに応じて、いずれの論文を読んでも、必ずや示唆に富む記述に出会えると思う。さらに、本書の後半にはQ & Aのコーナーが設けられ、ただちに役立つアイデアやヒントが満載されている。本特集が、21世紀からの糖尿病診療に少しでもお役にたてば幸いである。

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