桜と橋で花が咲く

 桜の季節がやってきた。寒い冬を越え、ようやくつぼみが開く。花びらは真っ赤やピンク色でなく、薄紅色だからいい。桜の花言葉には、教育や独立、謙譲、歓待などの意味がある。

 私は桜を見ると、新学期や吉野川のことをなぜか思い出す。おそらく、この時期に吉野川橋を通ったからだろう。17個あるアーチを、指を折りながら数えていたのを覚えている。

 本橋は昭和3年に完成した。当時の新聞から、記事の一部を紹介しよう。「113万円の巨費と丸3年余の工期、67,000人が従事」、「東洋一の長橋、雲白の橋脚、虹の如く中空を天架ける小豆色のワーレン・トラス
など、何といふ美しさ、何といふ偉大さであらう・・・」との名文だ。また、流速が強く工事は苦労の連続。現場監督は「度々の洪水に神を念じた」と。その後、橋の真下から大阪へ水上飛行機が出航したり、本橋は交通の要所として大活躍してきた。

 歴史はめぐり、今では下流にある吉野川大橋が交通の大動脈となっている。大阪は車やバスで近い存在となった。ただ、少し心配なことがある。京阪神から来た人が、吉野川を渡らずに高速道路を西に向かうことが少なくないと聞く。

 サクラの語源には「咲く」や「栄える」という意味がある。眉山や徳島中央公園、新町川水際公園の桜もそれぞれ趣がある。山に、街に、そして心の中にも花が咲く。阿波踊りだけでなく、花見の季節にも多くの人々をお迎えし、歓迎したいものだ。

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