文化の発信
文化の発信
20世紀最後の今年、経済界の”巨人”大塚正士氏が死去した。県民
栄誉賞が贈られた氏は、徳島の経済・医療・文化・スポーツの発展に
大きく貢献。「裏地の経済があればこそ表地の文化が育つ」と、経済と
文化の表裏一体を唱えた。その集大成として、創業の地・鳴門には大塚
国際美術館が完成。ギャラリーのコンテンツとスケールに度肝を抜かれた
人も少なくないだろう。
本四架橋、エックスハイウェイの開通、淡路花博の波及効果と、最近
徳島にとって明るい話題が続いている。これを機に徳島から文化を全国に
発信したい。心も身体も元気になる阿波踊り。鳴門ドイツ館には、ベートー
ベンの第九交響曲が初演された板東俘虜収容所の資料が多数。また、
フラメンコで文化庁芸術祭賞を授与された阿波特使の小島章司氏、ニュー
ヨークで絶賛されたジャズバンドの林郁夫氏など、世界的な芸術家も輩出
している。が、その故郷としての徳島を意識している人は、案外少ないの
ではないだろうか。
この文化を次の世紀に伝え、後輩を育てる土壌を作るために、ひとつ
提案したい。百年に一度の今年の大晦日。21世紀へのカウントダウンに
向けてオペラ、演劇、バレー、タップダンスなど、踊る人も観る人も
楽しめるフェスティバル「21世紀への徳島芸術祭」を企画してはどう
だろうか?もちろんトリは阿波踊り。参加者全員で21世紀に踊り込む、
なんていかがかな?(徳島大学付属病院内科医師)