◆ 健康な生活を送る

 生活習慣病予防のポイントや健康な生活を送るための心掛けなどについて1)食事、2)運動、3)休養、4)まとめ、について記する。

●果物で 食事楽しく 金・銀・銅

 近年、「早寝早起き」ではなく、生活リズムがずれて、「遅寝遅起き」の人が増えつつあります。そのため、朝に食欲がわかず、朝抜きが問題となっています。
 そこで、提案があります。果物を活用しましょう。果物の糖分はただちにエネルギーになる特徴があり、いろいろな種類の果物を楽しめるはずです。果物を食べる時間帯について、朝は金、昼は銀、夕は銅、夜は鉛、と言われています。表1、2に朝食の重要性を示しました。

表1 なぜ、朝食が大切なのか?

・代謝を高めて体を目覚めさせる
・午前中のエネルギーを補給する
・血糖が上昇し昼に食べ過ぎない
・脂肪の燃焼しやすい身体を作る
・家族で朝のコミュニケーション

表2 朝食を抜くとどうなるか?

・身体が目覚めず午前中に低体温
・元気なくボーとするなどの影響
・身体が脂肪蓄積のタイプになる
・次の食事での摂取量が多くなる
・遅寝遅起きなど不規則な習慣に

●運動は エアロに筋力 ストレッチ

 オリンピック選手など競技選手が目指すのは「体力づくり」です。でも、一般の人が目指すのは、いつまでも自由に動くことができるための「健康づくり」。心臓と肺を鍛えて、血流をよくして、足腰を弱めないことがポイントとなります。
 無理をしない運動としてお勧めするのは、酸素を十分とりこんで気持ちよく汗をかく有酸素運動(エアロビクス)です。散歩や水泳、いろいろなスポーツがありますが、一番簡便なのがエクササイズ・ウォーキング。ぶらぶらと歩くのではなく、しゃきしゃきとすこし速歩で歩くことです。その時間帯のメドを、厚生省のデータから表3に示します。

 表3 年齢別の運動時間と目標心拍数の目安

 年齢          20代 30代 40代 50代 60代
 一週間の合計運動時間  180 170 160 150 140  
 目標心拍数       130 125 1 20 115 110

 なお、足腰が弱ると歩けなくなってしまいます。腹筋や背筋が弱ると腰痛が出てきます。筋肉を鍛え、姿勢を正しくしてください。また、脳卒中などで麻痺がある人でも、筋肉を鍛えると、立って動けるようになるので、がんばってみましょう。
 また、多くの人が、頭痛や肩凝りを訴えます。首や肩の筋肉が強くし、首や肩、腕をよくストレッチするのが効果的です。

●休養は うまく自分で 工夫して

 現代はストレス社会。心理学の研究で、性格と病気の調査があります。生真面目で手早く仕事をすませ時間に厳格で早食でイライラしがちの人は、心臓の病気が多いのです(タイプA)。これと対照的に、のんびりしたマイペースの人はタイプB。一緒にいると安堵感さえ感じて、その人のゆったりした考え方と行動を真似すると、病気が減ってきます。
 問題となるのが、タイプC行動型。気分が憂うつになることが多く、いろいろな困難に際して、救いも希望もないと考えて、感情を抑圧してしまうような人々です。このグループの人は、癌になる割合がとても高くなるとされています。
 怒りや不安などの感情を出すとか我慢ということではなく、うまく、上手にストレスに対処し発散することです。考え方によって、物事は良いようにも悪いようにもなります。好いこともあれば、悪いこともあります。人生は塞翁が馬と言われているように、楽天的に前向きに考えていきましょう。

● 生活習慣病

 生活習慣病には、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧、心臓病、脳卒中、がんなどの病気が含まれます。最近の研究で、明らかになってきたことがあります。今まで別の病気と考えられてきたものが、実は、植物の根のように関連があるというのです。たとえば、「死の四重奏」では、4つの病気に関連があり、これらの働きで次第に動脈硬化が進みます(図2)。
 そして、死にもつながる心筋梗塞や脳卒中を起こりやすくします。これらの病気は、「痛い」「苦しい」など自覚症状がないからこそ怖いのです。定期健診などの機会を逃さず、チェックしてください。
 生活習慣病の原因には、食事、運動、休養の3つに、酒とたばこが加わります。「百薬の長」と言われるお酒は、適量が大切。全く飲まない人よりも、少量飲む人の方が心臓や血管の病気がやや少ないのです。でも、わざわざ飲む必要はありません。ストレス解消のために、時々少しだけアルコールを楽しむのもよいでしょう。
 なお、たばこは「百害あって一利なし」。タバコの煙には、主流煙と副流煙があります。喫煙者本人よりも近くにいる人が吸う副流煙に、有害物質や癌誘発物質がはるかに多いのです。平成15年4月から健康増進法が施行されて、喫煙が今後少なくなるのを期待しています。

●あなたは今、健康ですか?

 病気とは素質と環境の組み合わせによって起こります。素質は不変ですが、環境は変えられます。「習慣は第二の天性」とも言われ、毎日コツコツと継続していくことで、病気にもなり、あるいは、健康にもなるのです。
 世界保健機構(WHO)によると、健康とは単に身体や心だけでなく、社会的な面も考慮しなければなりません。近年、Quality Of Life(QOL)という言葉が知られ、「生活の質」と訳されていますが、「人生の質」でもあります。あなたは一人ぼっちではなく、家族や友人、仕事の同僚など多くの人々に囲まれています。いま、ここに、生きているあなた自身について、この4回のシリーズが参考になれば幸いです。

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