◆  ドレミと進化

 前回はショパンのワルツの話をしましたが、そもそもどうして音楽がこの世にあるのでしょうか」?ギリシャ神話に登場する芸術の神「ミューズ」がamusementとして私たち人類に授けてくださったのかもしれません。それでは、地球以外の惑星には、果たして音楽はあるのでしょうか?

 「宇宙へ向かってレコードを載せたロケットが発射された」とのニュースが以前に紹介されていました。そのレコードは金で作られており、銀河系内の地球の場所を伝えるほかに、地球の地理、言語、生活など人類からの様々なメッセージが含まれています。さらに、その中には文化の一つとしてベートーベンの音楽も収録されているとのこと。遠い惑星で高い文明を持つ生物がこのレコードを手に入れたら、その星のコンピューターで解析して地球の音楽を聴いているかもしれませんね。でも、地球の音楽の音階をちゃんと読み取れるかどうか不安です。

 私たちが通常聴く音楽は、1オクターブの中に12個の音がある音階を使っています。現代音楽の中には、1オクターブの中に、19個、31個、43個、53個の音がある不可思議な音階もあるようですが、私は12個でよかったと思います。もし、53個もあるとすれば、ピアノを弾くことが好きな私たちにとって、鍵盤があまりに多すぎて困ってしまいます。そして、世界最高のピアニストは、間違いなく千手観音になってしまいますよね・・・。

 それにしても、なぜ12個になったのでしょうか?これは、かの有名なピタゴラス(直角三角形の辺の長さの定理を見つけた彼)が、この音階を作ったのです。余談になりますが、小学校の理科の実験で「琴」を作ったように記憶しています。紙の箱にピンと張った糸を付けた物で、コマの位置によって音程が変わるというものでした。最初の長さの音を「ド」とすれば、糸の長さが1/2になれば、1オクターブ上の「ド」になります。2/3では「ソ」、3/4では「ファ」、4/5では「ミ」の音になるということを皆さんは知っていましたか?どうです、不思議ですね!もしかしたら、ピタゴラスは、宇宙のかなたの光輝く星から派遣されて、音楽の基礎を地球に伝えてくれたのかもしれませんね。

 宇宙のイメージを表現した曲があります。題名は「ミクロコスモス」で、近代作曲家バルトークが子供のために作曲したピアノ作品集です。全6巻で総計153の小曲から構成されており、誰でも簡単に弾けます。5拍子や7拍子の曲、長調か短調かわからない曲、右手と左手の調が違う曲、など子供から大人まで楽しめる作品で、現代音楽に対する感性が磨かれます。羽田健太郎が演奏したCD(BY38-3:1,4,5巻、APCC-1:2,3,6巻)なども出ています。内容は「大宇宙」的ですが、バルトークが控えめな性格であったのか、「ミクロコスモス」と名づけたとのことです。

 さて、私は先日、「マクロコスモス」という曲にたまたま遭遇しました。最近トピックスとなっているα波ミュージックに関連した音楽です。CDの表題は「θ波:リラクセーションのためのメンタル・コントロールーFlying Version」です(APCE-5282, Apollon, 1993年)。この曲を聴くと、フワフワと宇宙遊泳しているような気分になってきます。

 「マクロコスモス」が大宇宙であれば、「ミクロコスモス」は小宇宙であり、人間の身体そのものであると比喩されています。身体を造る細胞をミクロの世界まで小さくしてとらえた時、宇宙の構成とよく似ているからなのでしょう。私たちの身体の中には、宇宙があると言えるのです。不思議ですが何となくロマンティックですね。

 宇宙には数え切れない星や惑星、星雲があります。それらが、時には静かに、時には大爆発を起こしながら、バランスを保っています。身体の中に宇宙を持った私たちのとって、細胞の一個一個、遺伝子の一個一個が星雲や星に相当するのでしょうか?これらが、f分の1「ゆらぎ」のごとく、規則性と意外性のリズムをうまく奏でる音楽家として、宇宙の膨張や、生物の進化をうまく指揮しているのかもしれませんね。

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