◆ ビタミン A・C・E

「エース」といえば、何を思い浮かべますか?野球の投手、ゴルフのホールインワン、トランプの切り札、テニスのサーブ、などがありますね。漫画「エースを狙え」では、宗方コーチが、主人公・丘ひろみに教えます。「試合を決める1球はいつ来るかわからない、だからその1球のために何千、何万球も練習しなければならない」と。

 さて、エースとはACEのこと。今回は、皆様にも馴染みが深いビタミンA・C・Eの話をします。ビタミンには脂溶性のA, D, E, Kと水溶性のB群, Cがあります。この中でA・C・Eは「抗酸化作用」が強いのが特徴です。
 「酸化」とは酸素とくっつくことです。あなたの身の周りで、さびついた金属を見かけませんか。鉄なら表面が酸化され赤色に変わります。さびの予防には、錆び止めを使いますね。

 これと同様に、実はあなたの身体の中にも「さび」が存在するのです。ビタミンA・C・Eは、酸化に対抗する働きにより、さびと闘います。その例として、癌、動脈硬化、酒・たばこについてお話しましょう。
 ?「癌」の発症の予防:国立癌センターが以前に発表したのが「癌の予防十二カ条」。その中には、緑黄色野菜を中心に「適量のビタミンA・C・Eと繊維を多く摂取すること」と。A・C・Eの連携プレーによって、正常な細胞から癌ができる「発がん」を防ぐ効果が、いま注目されています。
 ?「動脈硬化」の予防:コレステロールには、善玉のHDLと悪玉のLDLとがあります。LDLはコレステロールを身体の隅々に散らかす「運搬人」みたいなもの。最近の研究を紹介しましょう。LDLそのものが動脈硬化を起こすのではなく、LDLに活性酸素が結びついて悪さをするというのです。「酸化されたLDL」が本当の悪玉
で、血管を硬くしたり詰まらせたりします。

 たとえてみると、LDLとは危険な爆薬やダイナマイトみたいなものです。静かで冷たい所にあれば、特に問題はありません。しかし、これに何らかの誘因やきっかけが加われば爆発します。すなわち、引き金を引く「火付け役」が活性酸素なのです。これらの反応を抑え込むように、ビタミンA・C・Eは活躍しているのです。

 ?酒・たばこ、他:酒やたばこ、排気ガス、紫外線などのストレスを受けると、私たちの体内には不安定で攻撃的な活性酸素が作られます。活性酸素は、動脈硬化や癌の発生に加え、コラーゲンを変化させて老化を促進させます。これらに対する「錆び止め」として、ビタミンA・C・Eが働きます。

 それでは、48歳女性の患者さんを紹介します。最近続く倦怠感を訴えて受診。身体や心、家庭や職場の状況や「原因に思い当たるものはないか」と詳細に問診し、必要な検査も行いました。しかし、明らかな異常はなく、ビタミン複合体を処方したところ、速やかに症状が消失しました。
 一般的に、本剤を服用した患者さんに自覚症状の変化を尋ねると、短時間で効く場合、少し効果があるようだと感じる場合、自覚的にはあまり変わらないという場合、などがあります。
 食事を含む様々な健康問題を検討し、医療現場では必要に応じてビタミンが投与され、効果がみられています。患者さんは自覚症状だけで判断する傾向にあり、医師は多くの情報から総合的に診断します。そこで、毎日の生活で体調や生活習慣についてメモをつけていれば、とても役立ちます。いつどのような病気が来るか、わかりません。常々から自分の健康に留意し、備えておきたいものです。

表1 ビタミンA,C,Eのポイント

種類   作用        症状     多く含む食品  

A 抗酸化作用       暗順応の低下  ウナギ、レバー
  皮膚や粘膜を正常に保つ 皮膚粘膜の乾燥 パセリ、にんじん
  抵抗力を強くする、   消化の低下   かぼちゃ、乳製品
  視覚作用に重要な働き  吸収の低下   ホウレン草

C 抗酸化作用       歯槽膿漏    緑黄色野菜、
  免疫力を強化する    歯茎の出血   柑橘類、トマト
  メラニン色素沈着の抑制 抵抗力低下   ジャガイモ、キウイ
  抗ストレス作用     皮膚のシミ   ブロッコリー
                     

E 抗酸化作用       冷え性     カツオ、サバ、
  末梢の血液循環を改善  抜け毛、    ウナギ、小麦胚芽、
  冷え性や肩こりの予防  筋肉の衰弱   バター、アーモンド
  老化防止のビタミン   不妊症     緑黄色野菜

powered by Quick Homepage Maker 4.91
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM