スケートは白鳥のごとく

 ダイヤモンドダストが空中でキラキラと光る。冬の空気が冷たく冴えわたる、寒い朝などに見られるものだ。気温はマイナス20℃。ここは北海道帯広市。先日「青空とかち冬季国体」が開催された。こんな凍えるような気候でも、徳島から出場したスケート選手は熱く燃え、氷上の闘いは氷を解かすほどだった。

 スケートリンクに隣接する高等学校を見つけた。白樺学園である。優れたスケート選手を多く輩出している高校だ。校舎には「祝ソルトレイクオリンピック出場」と大きな垂れ幕。スピードスケート日本代表20人中、
白樺学園出身者が清水、堀井、大菅選手など9人も占めているのである。

 ここから車で数十分走ると、十勝川の水面に、数百羽の白鳥が集まっていた。地元の人が長年かかって餌づけをしたもの。青空や吊り橋をバックにした雪と川と白鳥は、そのまま名画になりそうだ。端正で美しい白鳥
の姿。極寒のシベリアにも飛べる力を内に秘めていても、仕草は穏やかで無駄がない。力まずしなるように羽ばたいていく。

 国体会場に戻ると、北海道代表の白樺学園の少年男子・女子選手が猛烈なスピードで滑っていた。心も肉体もみなぎる力で燃えていても、洗練された技術のためだろうか。白鳥のように、しなやかな動きに見える。サン・サーンス作曲の「白鳥」は6拍子。パワーの2拍子とエレガンスの3拍子を掛け合わせたもの。

 これがスピードスケートの極意かもしれないと感じた。

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