ジャングルの王ライオン

 「森には水がなくなり荒れ果ててしまった。どうか助けて」と訴える雌ライオン。雄ライオンが水面を覗き込む。そこには自分と瓜二つの父の姿が…。父は力強く息子に語りかける。「Remember who you are !(自分は一体誰なのか、思い出せ)」と。「そうだ、僕はライオンキングなんだ。敵と対決するぞ」と決意するシンバ…。

 私がいま滞在している街はロンドン、劇場が立ち並ぶコベントガーデンである。世界中の演劇通の人々がやってくるスポットだ。今回観劇するのは、よく知られたライオンキング。映画や劇団四季の演劇で観たことがあるが、楽しみにしていた英国のステージだ。冒頭でアフリカの歌が魂にジーンと響いてくる。ビシバシと決まるシャープな動き。躍動感溢れたダイナミックな踊り。舞台の下で演奏される音楽に合わせ、ミュージカルのコーラスが響き渡る。私の身体の細胞までが嬉しくて共鳴し震えているかのようだった。

 確かに本場はレベルが違う。しかし、日本の演技が負けていない点もあった。動物の模型を身に着けて動く場面。日本人の細やかな手先の動きや微妙な間の取り方は、決して優るとも劣らない技と言えるだろう。

 本劇は、日本最初のカラーアニメ「ジャングル大帝」を参考にしたという説がある。作者の手塚治虫先生の理想は、自然と人間、動物たちの共生。大自然をもう一度見直しながら、私たちが関わる大切な生命について、一緒に考えていきたい。

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